昭和最後のドラえもん作品。
ホラー感が強く、トラウマになった子供も多いはず。
ドラえもん映画第9作品目。
映画『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』の感想を書いていきます。
公開 1988年(昭和63年)3月12日
オープニングテーマ「ドラえもんのうた」
作詞 楠部工
補作詞 ばばすすむ
編曲·作曲 菊池俊輔
うた 大杉久美子
エンディングテーマ・挿入歌
「君がいるから」
作詞 武田鉄矢
作曲 山木康世
編曲 都留教博
うた 堀江美都子、こおろぎ'73
ざっくりあらすじ
のび太は「本物の孫悟空にそっくりな人物が孫悟空役をやるべき」と言い、タイムマシンで1350年前の中国(唐)へと孫悟空に会いに行く。
唐で自分そっくりの孫悟空を見かけ、助けた少年に孫悟空と間違えられたのび太は「本物の孫悟空は僕そっくりだ!」とジャイアン、スネ夫、しずかちゃんに報告する。
実在しない孫悟空が存在して、しかものび太にそっくりなんてあり得ないと確信しているジャイアンとスネ夫。
2人はのび太に「もし嘘だったらドラえもんの道具使い放題」という約束をさせる。
勝手な約束をしたことを知りドラえもんは怒る。
体験型ゲームのヒーローマシンという道具でのび太を孫悟空に変身させ、ジャイアンたちを騙そうとするも失敗してしまう。
本物の孫悟空を見せられなかったためジャイアンたちはドラえもんの道具使い放題の権利を手に入れ上機嫌で現代日本に帰宅する。
しかし、戻ってきた日本は妖怪に支配されている世界に変わってしまっていた。
唐の世界でヒーローマシンを使用した際のトラブルで妖怪がのさばってしまったことがわかり、元の世界に戻すには妖怪回収しなければいけない。
のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫の5人はヒーローマシンで孫悟空、三蔵法師、猪八戒、沙悟浄に変身。妖怪の狙いである本物の三蔵法師を守りつつ妖怪回収していく──。
ドラえもんの道具のせい!?
孫悟空は自分にそっくりだと言い張るのび太は、ジャイアン達と嘘だったらドラえもんの道具使い放題という約束をしてしまいます。
それを阻止したいドラえもんとのび太が考えた作戦が、
①ヒーローマシンでのび太が西遊記のゲームを始める。
②孫悟空になっている姿でゲームの外に出てジャイアン達に「孫悟空はのび太そっくり」と思わせる
でした。
結局、ジャイアンに変装がバレてしまいドラえもんの道具使い放題の権利を与えてしまうことになりました。
ドラえもんの悲劇はこれだけではありませんでした。
②の時、ヒーローマシンを稼働させたまま離れた隙に西遊記ゲームに登場する妖怪たちまでもが現実世界に出て来てしまった。
これが今回の敵!
妖怪たちは西遊記ゲームのストーリー上、三蔵法師をやっつける(食べる)ことをプログラムされていました。
本物の三蔵法師が実在する唐の時代でゲームをオープンしてしまった。
その他の敵である孫悟空(のび太)も出ていってしまっている。
敵を求めて妖怪たちは現実世界に飛び出てしまったというのです。
三蔵法師を倒しても妖怪は止まらず、人間世界を支配。そのため現代日本に戻ったのび太たちの世界もおかしくなっています。歴史が変わってしまいました。
過去のドラえもん映画では、ドラえもんの道具でよその世界に繋がる、遊びに行く、ことはあっても、敵は現地の悪がメインでした。
現地の揉め事に巻き込まれる系のお話が多かった。
ドラえもんの道具の妖怪が直接の敵になるというのは珍しく感じます。
未来の道具で現れた敵が歴史も変えています。欠陥品だと言われても仕方ないです。
ただ、妖怪が出て来てしまった理由が三蔵法師を狙ってということにも妙に納得してしまいます。
もし、本物の三蔵法師がいる時代と場所で使わなければ妖怪は出てこなかったかもしれない。
唐の時代、三蔵法師の近く、無人にして離れてしまった。不運が重なった結果なので、きっと開発者にも予期せぬ事態だったでしょう。
無事に解決したけれども、未来警察にバレたらドラえもんが罪に問われる可能性もあるほどの重大事件ですよね。
ホラーでトラウマ!
映像がおどろおどろしく見える。暗い。
子供のころはパラレル西遊記は怖くて仕方なかったなーと懐かしくも思います。
何より怖いシーンは夕食の場面でしょう。
パパの新聞越しの影。角が……角が……。
パラレル西遊記はドラえもん映画の中でも特にご飯が美味しそうに見える。のに、唐揚げはカエルとヘビ。
そしてママの「パパの好物トカゲのスープ」
と言いながら、トカゲが浸かったスープを食卓に並べるシーンはトラウマになった子供たちは多いはず!
ママの喋り方もちょっとゆっくり丁寧に言っているだけなのですが妙に怖く感じたものです。
ドラえもんのび太の魔界大冒険 のメデューサに次ぐ怖いシーンです。
次の日になり、西遊記の劇の練習中。西遊記のお話がおかしいと気づくのび太たち4人です。
それを訴えるも出来杉くんに「どんなお話だって人間は最後にほろびるんだよ」と言われてしまいます。
出来杉くんが言うからこそ世界がおかしいと決定的になり、出来杉くんまでおかしくなるなんてとの不安からの先生の妖怪変身で絶望という流れが怖い。
映画が始まったばかりの元の世界では春なので桜が咲いていたはずなのに、妖怪に支配された世界は葉が落ちた木々が目立ちます。常に曇りで暗く、霧がかっている。コウモリが多い。
怖いけれどドラえもん映画のなかでもパラレル西遊記は大好きな作品で、何回も見ては何回も怖がっていた記憶があります。
謎の少年リンレイ
三蔵法師のお供として旅をする少年リンレイ。
その正体は妖怪で三蔵法師を捕らえるためのスパイだった!!!
視聴者側からだとリンレイは怪しいと思う描写も多いですが、迷っているのも感じます。
リンレイの手引きで本物の三蔵法師は妖怪に拐われ、ヒーローマシンで三蔵法師に変身していたしずかちゃんも拐われてしまいます。
のび太たちとリンレイは三蔵さまとしずかちゃん救出のため、妖怪の根城である火焔山へ。火焔山は炎に包まれ、炎を消すには羅刹女の持つ芭蕉扇で扇ぐしかありません。
立ち往生していると、リンレイが火のなかに入り口を発見。そこから突入する!ここで挿入歌「君がいるから」!素晴らしい。ワクワクが止まらなくなります。
個人的に「君がいるから」はドラえもん映画好きな曲ベスト3に入ります。
トラップが多いのにリンレイの助言で順調に進みます。不思議に思うのび太たちですが疑ってはいない様子。
最後にはのび太たちだけ落とし穴におとされ捕まってしまいますが、リンレイのせいではない。
リンレイは三蔵法師さまとのび太たち孫悟空との交流で自分のしていることに葛藤していました。三蔵法師を捕まえるのには関わりましたが、孫悟空たちと火焔山に一緒
突入したのは三蔵法師さまを助けたいからだったはず。
妖怪のボス牛魔王にドラえもんが食べられそうな危機一髪な状況で、ドラミちゃんが派手なタイムマシンで助けにきてくれます。
三蔵法師はドラミちゃんを観世音菩薩さまと勘違いしていたのにクスッと笑いました。タイムマシンのライトがいかにもそんな感じだったからかな?
その前の牛魔王が「太った青だぬきから」とドラえもんから食べるのを決めたのも、今回はちょっと笑いました。ドラえもんのピンチに申し訳ないけど、青いタヌキってまずそう……。
牛魔王、羅刹女が倒れるもリンレイは2人の子供・紅孩児であることが発覚。
全ての妖怪はのび太が倒した牛魔王の死で
機能を失い、崩れゆく城を脱出した外から眺め泣くリンレイと慰める三蔵法師。泣けちゃいます。
自分は妖怪で両親の言うことに強く反対も出来ない、裏切れない。なんだか鉄人兵団のリルルを思い出しました。
妖怪でもまだ子供で、悪人な両親でもリンレイにとっては大切な家族です。
この辺りは大人ないまだからこそ、特に涙してしまうシーンです。
孫悟空はのび太!
妖怪は無害になり三蔵法師はリンレイと旅を続けることになりました。
リンレイはのび太に感謝「ありがとうございます悟空さま」と。
自分は本物の孫悟空ではないと告げようとするも、
と言うシーン。
ジャイアンはずっと孫悟空がやりたかったんです。劇の配役でも、ヒーローマシンでの変身も。でも猪八戒であることにふて腐れていて、孫悟空になったのび太を認めていなかったのです。
それが最後に「のび太が孫悟空」だと認めたのがジャイアンだということに説得力があります。
きっと三蔵法師さまとリンレイはこの後も長い長い旅をするのでしょう。そのなかで今回の出来事を広め、孫悟空のお話が西遊記として伝わったのでしょう。
本物の孫悟空はのび太 だったのです。
以上、映画『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』 たまこ の感想でしたฅ(´꒳ `ฅ)ꪆ
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