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映画『ドラえもん のび太と雲の王国』あらすじと感想-天上人の傲慢さ

天上人は地球のことを大切に思って守りたいのではない、ただ地上人が嫌いなだけ!  

 

個人的に雲の王国は好きなドラえもん映画ベスト5、エンディングテーマ「雲がゆくのは…」も好きなドラえもん映画曲ベスト5に入る大好きな作品です!


ドラえもん映画13作品目。『ドラえもんのび太と雲の王国』の感想を書いていきます。

 
映画ドラえもん のび太と雲の王国

 

 

 


ドラえもん のび太と雲の王国

公開          1992年3月7日

上映時間   97分

監督          芝山努
脚本           藤子・F・不二雄

 


オープニングテーマ「ドラえもんのうた」
作詞      楠部工

作曲      菊池俊輔

うた      山野さと子

 

エンディングテーマ「雲がゆくのは…」
作曲      深野義和

編曲      山中紀昌

作詞      武田鉄矢

うた      武田鉄矢

 

ざっくりあらすじ

授業で雲について学んだのび太は、天国のある雲はどこにあるのかと質問する。
天国なんてあるわけないと馬鹿にされふて腐れるのび太
自分なりに調べるも天国がないという現実を知り落ち込むのび太
ドラえもんは「ありもしない天国を探すより、自分で作っちゃえば?」と言い、のび太と2人で雲の王国を作り始めた。


雲を固めて理想の国をつくりたい2人だが、資金不足で雲の王国完成まで数年はかかるかもしれない。
そんなに待てないのび太は、株式王国としてしずかちゃん、ジャイアンスネ夫に株主になってほしいと頼む。

大株主スネ夫のおかげで無事に雲の王国は完成。
お城、家、施設はもちろん、美しい大自然に囲まれた素晴らしい王国が誕生した。


雲の王国を満喫していた5人は自分たちの雲と間違え、絶滅動物や絶滅危惧種が存在する雲へと迷いこんでしまった。
そこで雲の上で暮らす天上人と出会い、天上世界の存在を知る。

そして、天上人たちが地上を洗い流す『ノア計画』を進めていることも知ってしまう──。


ドラえもん故障という絶望感

天上人に不信感を抱き逃走した際、落雷により5人バラバラに落下してしまいます。
しずかちゃん、ジャイアンスネ夫は天上人に捕まり、のび太は落雷で故障したドラえもんと合流。ここからしずかちゃん達サイド、のび太達サイドでお話が進みます。

この落雷によるドラえもんの故障!
ポケットがない、使える道具が少ないという状況は過去のドラえもん映画でもありましたが、ドラえもん自身が故障してしまうのは初めてですね。
意志疎通も出来ない、ポケットを許可なく使うことも出来ず。相談すら出来ないのは心細いです。単純に故障が心配だという思いもありますし、のび太はよく頑張りました。

物語の大半は故障ドラえもんで、直ったと思ったら最後には雲流しガスタンクに突っ込んで意識不明の状態になるドラえもん


「パルパルみんなを頼む! 僕がタンクを壊す」

 

と走っていってしまうところは目が涙でうるうるしてしまいます。まだ我慢です。
ドラえもん名シーンです。カッコいいドラえもん

「天上人 何千万人の命には代えられない」

と特攻を決意するところも含め、ずっと忘れられない名シーンです。


ガスタンク特攻の後、雲の王国が崩壊。
意識不明のドラえもんのび太が泣きすがるシーンは我慢していた涙が流れてしまいました。

 

 


天上人の傲慢さ

 

天上人は大雨で地上のすべてを洗い流す『ノア計画』を計画しました。
地球の環境破壊ばかりする地上をリセットするため。元に空気の美しい世界に戻すため。そんな大義名分を掲げています。
地上の人間や動植物は天上に一時保護し、地上を洗い流した後に地上に戻す。だから酷いことではないと言わんばかりな態度でした。


これは本当に地球のためなのでしょうか?
天上世界の科学技術は地上とは比べ物にならないほど進んでいました。
空気や水から作られる合成食物、発達したソーラーエネルギー動物の言葉を翻訳できる技術、他の星との交流もあり行き来もできる。そしてノア計画という天候をも操作できてしまう技術があるのです。
これだけの技術があるのなら、地上人に教えれば良いのでは?
なぜいきなりノア計画なのか? 地球のためを思うなら地上人と話し合い、環境破壊を止めるよう呼び掛けることをしたのでしょうか?
自分たちが努力して発展させた技術を易々と渡せない、地上人に悪用されるかもしれないという不安はあるでしょう。
でも、天上人が地上人の環境破壊に困っていることを伝えることくらいは出来たはずです。
それらの全てをすっとばしてのノア計画は天上人の傲慢さを感じます。

 

 


パルパルは「あなたたちと同じ人間よ。住んでる場所が違うだけ」と言いました。
これはおそらくパルパルが良い子だからでしょう。
他の一般的な天上人はそう思っていないのではないでしょうか。

審判で地上人代表として証言したしずかちゃんは、不安の中でも小学5年生としてはとても立派に証言しました。
この証言に天上人は懐疑的でした。
地上人の今までの行いが悪いからという理由でです。
しかし、植物星大使のキー坊がまったく同じ内容の証言をすると拍手喝采です。

日頃の行いが悪い者の言い分は信じられないというのは分かります。
ですが、天上人はそもそも地上人を同じ人間とは思っていないのではないかと思うのです。

天上世界の成り立ちという神話の劇がありましたが、見るからに天上に逃げた神(天上人)は善良であり、地上の神(地上人)は暴力的な話でした。
これが刷り込まれているなら地上人は愚かでくだらない存在と思っていても当然かもしれません。


地上人というものは悪い者と決めつけているから初めから聞く耳をもたなかったのでしょう。
最後の審判でパルパルが天上人に「地上人のなかにも私たちと同じように心を持つものがいるのです」というようなことを訴えていました。
地上人はまったくの別の存在、悪者だという思い込みが根底にあり、そんな当たり前のことを訴えないと理解できないのか……と思った場面です。

他の星とは交流があるのに地上人との交流はないというのは、自分たちとは違う存在という思い、同じ人間だと思っていないから。

無意識に自分たちが善良で正しくて、地上人は極悪で馬鹿という思いが天上人の傲慢さであると感じました

 


天上人目線で考えてみると?


自分たちは環境に良い科学技術発展もさせ、動植物の保護をし地球を大切にしながら生きている。それを上回る勢いで環境破壊していく地上人はそれはそれは腹のたつことでしょう。
空気が悪くなり、どんどん他の星へと移住していく天上人たち。なぜ、地上人のせいで自分たちが母星を離れなければならないのか。
その怒りが積もり積もって爆発した結果がノア計画だったのでしょう。
地上人の命は奪わないというのはむしろ優しいかもしれないとも思います。

そもそも原始人からやり直すとしても、現代知識をもっている今の地上人がノア計画後に地上に戻ったら……。

今まで以上の速度で発展と環境破壊が進むでしょう。それなら根絶やしにしなければ根本的解決にはならないですから、天上人の考えは甘々なのです。

 

まとめ


本当に地球環境のためを思うなら対話から始めるべき問題です。それらをすっとばしてノア計画は天上人も本気で環境のためを考えての行動ではなく、嫌いな地上人に罰を与えたいという思いからでしょう。

どちらの側に感情移入するかで感想が変わる、子供時代に見た印象と大人になってから見た印象でも変わる、いろいろ考えさせられる作品でした。


以上、映画『ドラえもんのび太と雲の王国』 たまこ の感想でしたฅ(´꒳ `ฅ)ꪆ

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