『しずかな日々』『るり姉』の著者 椰月美智子が描く喫茶店ミステリー!
ミステリー要素は薄めなほのぼのストーリー。かるーく読めるのでストレス過多な方はぜひ『純喫茶パオーン』を読んで癒されましょう。
児童文学のような物語なので小学生にもオススメな作品。
『純喫茶パオーン』
創業50年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。
トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスにたっぷり、表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。
その店主の孫である「ぼく」が小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。その昔ながらの喫茶店にはなぜか不思議な事件と個性的な人々が引き寄せられる。
帯より引用
2020年8月7日
216ページ
連作短編集で読みやすい!
「ライヤーミラー」「あまのじゃくだな、のっぺらぼう」「パオーンは永遠に」の三篇からなる連作短編集。
「ライヤーミラー」では小学5年生の主人公・来人だが、「あまのじゃくだな、のっぺらぼう」で中学1年生になり、「パオーンは永遠に」では大学生になっている。
主人公とその友人の成長と、物語の舞台となる純喫茶パオーンの変化が楽しめる。
連作短編集であり文体も軽いためとても読みやすい。
怖さはなくほのぼの物語なので気軽に読める本をお探しの方にオススメ。
ほのぼの物語
似非方言使いのおじいちゃんと目分量料理のおばあちゃん、店主夫婦が魅力的で純喫茶パオーンは「理想の純喫茶」を詰め込まれている。
祖父母と孫の友達の関わり方も理想的だ。
この店主夫婦のような懐の大きい年寄りになりたいと思わされる。
基本的にほのぼの物語で主人公・来人とその友人たちの成長を楽しむものなので、ほのぼのすぎて物足りなさを感じる人もいると思う。児童書っぽさを感じる。
小学生にもオススメ!
軽い文体とほのぼのストーリーは小学生にも読みやすそう。
なによりストーリーがぜひ小学生、中学生などこれから環境が変わるであろう人に呼んでほしい。
小学生の来人が小学5年生から物語は始まり、二つ目のお話では中学生になっているのだが、環境の変化にともない友達との付き合い方が小学校時代と変わってしまうことに主人公は悩む。
これは大人から見ると青春のもどかしさや微妙なお年頃のあるあるが微笑ましいものである。
中学、高校、それからずっと環境が変われば付き合う人もかわり自分も変わっていく。
それは誰しもが経験することであり、大人な私たちは躓きながらも自分なりにうまく立ち回る術をもつことが出来ている。
これから環境が変わる子供たちは『純喫茶パオーン』を読んで、これから先に悩むであろう環境変化を小説から体験し備えてほしい。
『純喫茶パオーン』に限らず、読書で様々な体験を得て自分だったら対処するかを想定しておくのは良いことなのでおすすめする。いざというときに焦らなくて済むのだ。
まとめ
理想的な古き良き純喫茶を詰め込んだような「純喫茶パオーン」で主人公と周りの人々が成長していくほのぼの物語。
軽い文体が読みやすく小学生にオススメの一冊!
以上、『純喫茶パオーン』たまこ の感想でした🐯