子供向け大河ドラマのような作品!
クレヨンしんちゃん映画第10作品目『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』の感想を書いていく。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』
公開 2002年4月20日
上映時間 95分
監督 原恵一
脚本 原恵一
オープニング 「ダメダメのうた」
作詞、作曲 LADY Q
編曲 森俊也
うた LADY Q & 野原しんのすけ(矢島晶子)、野原みさえ(ならはしみき)
エンディング 「二中のファンタジー ~体育を休む女の子編~」
作詞、作曲 ダンス☆マン
うた ダンス☆マン
ざっくりあらすじ
しんのすけは泉にたたずむ着物を着た綺麗なお姉さんの夢を見る。翌朝その話を家族にすると野原一家全員が同じ夢を見ていた。
しんのすけが幼稚園から帰ると、シロが庭を掘り返していた。
その穴から見つけた文箱の中には「おらてんしょうにねんにいる」と読める汚い字とぶりぶりざえもんの絵が描かれた手紙が入っていた。
埋めた覚えのないしんのすけが書いた手紙だった。
「おひめさまはちょーびじん」という一文を見て朝の夢のお姉さんに思い馳せてを目を閉じた。
目を開けた瞬間、しんのすけは夢で見た泉の側に立っていた。
訳もわからず歩いていると、軍勢同士の合戦に遭遇してしまう。
最初は時代劇の撮影だと思い込むしんのすけだが、偶然から一人の侍の命を救う。その侍は井尻又兵衛由俊(いじり またべえ よしとし)といい、命を救ってくれた恩からしんのすけを自分たちの城、春日城に案内してくれた。
そこにしんのすけが夢で見たお姉さんこと廉姫(れんひめ)がいた。
又兵衛と廉姫が想いを寄せ合っている事を察したしんのすけは2人の仲を取り持とうとするが、二人は身分の違いからお互いの想いを打ち明けられずにいた。
一方、しんのすけの父ひろしと母みさえは行方不明になったしんのすけの安否を気遣っていた。
警察の捜索も手がかりがなく行き詰まっている中、ひろしはしんのすけの残した手紙が気になり、図書館で史料を調べる。
そこには「天正2年に戦で野原信之介とその一族が奮戦」との記録があった。
ひろしはしんのすけが戦国時代にタイムスリップしたと確信して「きっとオレ達も過去に行く事になる」と悟った。
反対するみさえを説得し、野原一家はしんのすけの元に行くため車に乗り込み、シロの掘った穴の上に車を進める。
その頃しんのすけは、廉姫に初めに来た場所に手紙を埋めてはどうかと提案され、泉の前に文箱を埋めていた。
そこに突如ひろしたちを乗せた車が現れ、しんのすけは家族との再会を果たす。
急いで現代へ戻ろうとするひろしたちだが、戻る事ができない。
一家はしばらく春日城に滞在することになってしまう。
春日城の城主・春日康綱(かすが やすつな)は、ひろし達に未来にはどの大国もみな滅び去ってしまうことを聞き、政略結婚は無意味と考え、廉姫に婚姻を迫る隣国の大大名・大蔵井高虎(おおくらい たかとら)に婚姻解消の旨を伝える。
だが、これを受けた大蔵井は2万の兵を率いて春日城へ攻めてきた。
又兵衛らがこれを迎え撃つ為に城の守りを固める中、ひろしは史実通り、自分達も戦うことになってしまうことを恐れていた──。
時代劇として最高!
天正二年(1574年)の春日部が舞台の映画。
子供向けアニメと侮るな。素晴らしい時代劇だったんだから。
武士としての生き方、身分差の恋、籠城する人々の緊迫感と戦の熱狂。
特に籠城戦が良かった。
攻城櫓からの手榴弾で城壁は破壊され敵の侵入を許してしまうも、負けじと攻城櫓を破壊する又兵衛の強さ。
見ていて本当に戦場にいるかのような高揚感と恐怖におそわれた。
血の描写はさすがになかったがバタバタ人が倒れていくのもリアルだ。
翌日は城から打って出、敵将・高虎の首を狙うという作戦が決定された。
その役目を又兵衛が担うこととなった。
しんのすけは分かっていなかったが、それは死にに行く役目ともいえた。
廉姫、ひろしやみさえもそれは感じていた。
この状況だけで泣ける。
戦で最前線に立つのも武士としての仕事だとしても「武士だから」と己を奮い立たせることができるのは頼もしくもあり、悲しくもある。
又兵衛は早朝の出撃の混乱で野原一家を城から脱出させようとしていた。
優しい。又兵衛いい男だよ。
又兵衛の部隊が出撃して野原一家も車で城を出た。
廉姫は城の中でじっとは待っていられず、外の様子を見に裸足で櫓へと向かってしまう。
ここで侍女の吉乃が泣き姫が大切なんだと言葉はなくとも分かるシーン。
私もここで既に号泣。
ただひとつ残念な点があった。
しんのすけの懇願により又兵衛は敵将の首をとらなかったことは「甘すぎる!」と心で叫んでしまった。
子供向けだから首ではなく髷をとって終わったのは分かる。
だが戦乱の世を生きる侍が敵将の首をとらずしてどうする!という思いもある。描写せずに勝ったながれにしてもよかったのではないか。
わざわざ髷を代わりにとる(首はとらなかった)とする必要があったのか。
ここまでが素晴らしい時代劇だったのでこの終わりに物足りなさを感じた。
いや。そもそも時代劇ではないのだ。
クレヨンしんちゃん映画としてギャグもいれつつ子供向け大河ドラマのように仕上げている素晴らしい作品だ。
全お子さまたちに見てほしい。
クレヨンしんちゃん映画時代劇といえば『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』も良かったのでオススメ!
必ず泣ける映画(ものすごくネタバレ有)
何回見ても泣いてしまう。それが『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』である。
勝ち目の無い戦に向かう又兵衛。
お互いに想い合っているが身分差の恋に悩む廉姫と又兵衛。
しんのすけが又兵衛を狙う鉄砲から命を救ったことから始まった縁だったが、戦の終わりに又兵衛は撃たれてしまった。
又兵衛はしんのすけがこの世界にやってきたのは、己が大切な国と人を守る働きをさせてくれるためだったのだと悟る。
仲良くなったおじさんが目の前で…五歳のしんのすけには重すぎるよ。大人でも辛いよ。
そして又兵衛が撃たれたところを櫓から目撃してしまった廉姫を思うと涙がとまらない。
想いをはっきりと伝えることなく又兵衛は死に、廉姫は生涯嫁がないことを心に決める。
姫という立場でそれが許されるのかは分からないがその意志をきっと貫き通すだろう。
しんのすけは又兵衛が廉姫を好きだったことを伝えたがったが、とうとう伝えなかった。
ここでしんのすけが1人で金打(きんちょう)したのが良かったー。
又兵衛と「誰にも話さない」という金打して交わした堅い約束を守り伝えなかったという描写にしびれた。
個人的に恋愛もの苦手、バッドエンド苦手なので悲恋はものすごく苦手だ。
今回もまあ悲しみを引きずりすぎてしまうだろう。
スピンオフ実写化
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』を原案とした時代劇作品が2009年9月5日に公開されている。
山崎貴監督で草彅剛、新垣結衣らが出演していて、当時は話題になっていたのでクレヨンしんちゃん映画を知らなくてもなんとなく聞いたことがあると思う。
こちらはまだ見ていないが悲しみが収まったら見てみたい作品だ。
まとめ
クレヨンしんちゃんらしさも、ギャグも、恋愛も、時代劇も全て素晴らしくまとめられていた。
まだクレヨンしんちゃん映画を全て見たわけではないが、クレヨンしんちゃん映画シリーズとしてだけでなく、映画として大好きな作品だった。
クレヨンしんちゃんを知らなくても楽しめると思うのでいろんな人に見て欲しい。
以上、映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』 たまこ の感想でした🐯