明るく楽しそうな題名からは想像もつかないホラー映画だった!
クレヨンしんちゃん映画第14作品目『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』の感想を書いていく。
クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!
公開 2006年4月15日
上映時間 96分
監督 ムトウユージ
脚本 もとひら了
オープニングテーマ 「ユルユルでDE-O!」
作詞 ムトウユージ
作曲・編曲 中村康就
エンディングテーマ 「GO WAY!!」
作詞・うた 倖田來未
作曲・編曲 小松寛史
ざっくりあらすじ
人気のない夜道を一人歩いていたよしなが先生は途中で何者かにつけられていると感じる。そして踏切を渡ったところで、自分そっくりの人間に捕まってしまう。
翌日、幼稚園の休み時間、マサオくんは「あいちゃんの様子がおかしい」と語る。
酢乙女あいちゃんは、いつもは無関心なはずのマサオくんに対しやけに優しかったのだ。
マサオくんが「本物そっくりだけど、本物じゃない」と力説すると、ボーちゃんは「そっくりなニセモノが出没し、本物の人間はいつのまにか姿を消してしまう」という“カスカベ都市伝説”を語り一同を怖がらせた。
数日後、野原一家は新しくできた大型スーパーマーケットに出かけていた。
迷子になったしんのすけは、みさえとひまわりが2組いるという奇妙な光景を目撃する。
しんのすけは都市伝説を思い出して逃げようとするが、ニセモノのみさえにお菓子をたくさん買ってあげると言われ無理矢理捕まりそうになるが、「ツンデレ」と書かれたジャージを着た女性に助けられる。
しんのすけが本物のひろしとみさえの元に戻ると、二人も「もう一人の自分に見られているような気がする」と思い始めていた。
幼稚園では前々から様子のおかしかったよしなが先生と園長先生が、お遊戯会の出し物でサンバを踊ろうと言いだし、曲が流れた途端に踊り出した。
どうやらニセモノはサンバを聞くと踊り出してしまう習性らしく、多くの園児達も踊っている。
自分たち以外の先生や園児が全員ニセモノに成り代わられていた事を知ったまつざか先生、上尾先生、かすかべ防衛隊は危機を察知し幼稚園から逃げ出そうとするが、上尾先生はニセモノの黒磯(酢乙女あいのボディーガード)の誘惑に負けて捕まってしまい、まつざか先生はしんのすけたちを逃がすために囮になり捕まってしまう。
無事に逃げ切ったしんのすけとかすかべ防衛隊のメンバーは公園に集まっていたが、現状を断固として信じない風間は帰宅。
他の隊員も、親たちの様子がおかしければもう一度公園に集まる事を約束して解散する。
そして、風間は自宅でニセモノの風間とママに捕まってしまう。
その頃、ひろしも会社で同僚の川口がニセモノに成り代わられていることに気付いていた。
帰宅時、ひろしはニセモノの川口と謎の人物達に捕らえられそうになり、必死の思いで逃げ出したが、家に着くともう一人のひろしがしんのすけと入浴していた。
入浴していたニセモノひろしからしんのすけを助けようとするが、なんとしんのすけもニセモノだった。
川口や謎の集団が野原家を襲おうとした時、本物のしんのすけとスーパーで助けてくれた「ツンデレ」ジャージのお姉さんが車で救出にやってきた。
お姉さんはSRI(Sambano Rhythm Iine:「サンバのリズムいいネェ~」の略)という組織の特捜員で、名前を「ジャクリーン・フィーニー」・通称「ジャッキー」という。
野原一家を助け出したあと公園に集まっていたネネちゃん、ぼーちゃん、マサオくんを助け出す。
春日部の住民は全てニセモノと入れ替わってしまっていたため春日部脱出をしようと移動するが、しんのすけたちは謎の集団に拉致されてしまった──。
トラウマ級ホラー映画
過去のクレヨンしんちゃん映画にもホラー風な怖いと感じる要素のある作品はあった。
しかし、『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』はホラー風ではなく完全に「ホラー映画クレヨンしんちゃん」だ。
映画はふたば幼稚園のよしなが先生、まつざか先生、上尾先生が飲み会をしているところから始まる。
飲み会の席で幼稚園のお遊戯会の踊りについて話し合う先生たちにほっこり気分だったが、よしなが先生の後ろによしなが先生がいる──。
開始早々怖すぎー!!
飲み会解散後にはよしなが先生は誰かにつけられる気配を感じ逃げるも捕まってしまう。
よしなが先生を捕まえるよしなが先生のような人物、踏切の音、電車の車内に見える不気味な人々。
そしてオープニングテーマ曲へ。
いやいやいや。ここまで約5分くらいなのに展開全てがホラーって。
クレヨンしんちゃんといえば『ギャグ』というイメージが強いため、開始早々のギャグ無しいきなりのホラーに「え? 今回は怖い感じの映画なの?」と驚いた
その後の明るい気の抜けたオープニングテーマ曲でいつものクレヨンしんちゃんに気持ちを戻せたのも束の間、酢乙女あいちゃんニセモノ疑惑、最近になって囁かれている春日部都市伝説、人格の変わったよしなが先生など怖さは続く。
春日部の人たちがニセモノと入れ替わっていること。本物がどこに消えたのか分からないこと。ニセモノはサンバを踊る習性があること。ニセモノは粘土のような柔軟な身体をもっていること。設定怖すぎ。
今回は風間くんのママが早い段階でニセモノと入れ替わっていたが、風間くんはママがニセモノだと信じたくなくて気づいていないふりをしていた。
怖さを感じているのは自分だけ……というのは、今までのホラー風クレヨンしんちゃん映画ではしんのすけの役割だった。
ホラー風だった『ヘンダーランドの大冒険』ではひろしとみさえが人形と入れ替わっていて、本物の両親を取り戻すためしんのすけがヘンダーランドへと乗り込んだ。
今回は大切な人がニセモノかもしれない、もしかしたら自分以外はニセモノかもしれないと疑心暗鬼になったのは風間くん。
しんのすけが活躍したちょっとホラーな『ヘンダーランドの大冒険』と比べると、今回の風間くんは「ホラーで真っ先に死ぬサブキャラ」感が漂う。
カスカベ防衛隊(風間除く)が活躍しただけに風間くんだけ損な役回りだったのでちょっと可哀想だったかな。
映画開始からギャグもなくホラーで始まり、映画の後半まで怖い雰囲気が続いた。
最後はサンバの音楽とダンスで明るい雰囲気っぽくなりはしたが、上映当時に映画館で観賞してた小さな子供泣いたんじゃない? と心配になるほどホラーしか感じなかった。
私も小さい頃にこの映画を見ていたら確実にトラウマになっていただろう。
無理矢理なギャグ展開
ニセモノはサンバの音楽が流れると踊らずにはいられない習性をもつ。
これが盆踊りや民謡だったらさらに恐怖を煽っただろう。
全編を通してホラー映画だったため、明るくノリのいい「サンバ」の場違い感には笑えた。
ただ、クレヨンしんちゃんの映画としてギャグもいれなきゃ! という取って付けたサンバ設定にも思える。
始まりから後半30分くらいまでホラー展開だったが、ニセモノを送り出している敵の本拠地に野原一家が着いたあたりからはいつものクレヨンしんちゃんのギャグ調だだた。
このギャップについていけない。
本拠地に着いてからのギャグの詰め込みとサンバ三昧、敵の目的も理解不能で何故か良い感じに円満解決したかのようなストーリー。
これまで丁寧に重ねてきたホラーと謎を全て雑に終わらされてしまった。
クレヨンしんちゃんはギャグアニメで子供向けアニメなので明るく楽しく終わりたかったのもわかるが、どうせならホラー映画として振り切ってほしかった。
十数年以上続く長寿アニメ映画のうち1作品くらいホラー作があってもよかったのではないだろうか。
まとめ
ギャグアニメのクレヨンしんちゃんにしては珍しく全体的に怖さを感じるホラー映画だった。
今までのクレヨンしんちゃん映画になかった異色の映画であり、子供には確実にトラウマ映画となる作品だ。
以上、映画『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』たまこ の感想でしたฅ(´꒳ `ฅ)ꪆ
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