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アガサ・クリスティー『パディントン発4時50分』感想-敏腕家政婦の助手登場!

 

ミス・マープル長編第7作目!

ミス・マープルシリーズのなかでも特にオススメな読んでおくべき一冊!

 


パディントン発4時50分 (クリスティー文庫)
 

 

パディントン発4時50分』

あらすじ


ロンドン発の列車の座席でふと目をさましたミセス・マギリカディは窓から見えた風景に、あっと驚いた。並んで走る別の列車の中で、いままさに背中を見せた男が女を締め殺すところだったのだ……鉄道当局も、警察も本気にはしなかったが、好奇心旺盛なミス・マープルだけは別だった! シリーズ代表作、新訳で登場。

裏表紙より引用


ミス・マープル長編第7作目

アガサ・クリスティー
松下祥子 訳

解説
書評家 前島純子

早川書房


2003年10月15日発行
1957年に発表

全421ページ

 


ミス・マープル探偵


クリスマス目前の忙しい最中、ミセス・マギリカディは列車の中でうとうとしていた。ふと目覚めて外を見ると隣を走る列車の中で男が女性の首を絞めていた。
殺人現場を目撃してしまい車掌に報告するも年寄りの戯れ言と本気にされず、信じてくれたのはミス・マープルだけだった。
警察も一応の捜査はしてくれたものの、女性の死体は見つからなかった。
女性は死んでいないのか? 犯人が巧妙に死体を隠したのか?


目撃証言だけで死体も無い。殺人事件が本当にあったかすら分からないのにミス・マープルは珍しく自ら事件を掘り起こそうとする。
事件かもしれないと聞いて居ても立ってもいられず捜査し始めるのが“探偵”らしくなってきたなと思う。


また、マープルは検証のため列車でセント・メアリ・ミード村からロンドンまで三度も行ったり来たりして精力的だ。

調べたらセント・メアリ・ミード村からロンドンは25マイル(約40キロメートル)らしい。
この距離は東京駅からだと八王子駅くらいまでの距離だ。

 

東京から八王子もけっこう遠いよね。電車でも何回も行ったり来たりするのお年寄りにはしんどいよ。現代の電車じゃなく昔の列車だしね。お年寄りじゃなくてもしんどいしめんどうだ。

ミス・マープル自身も探偵仕事が出来ないくらい体力の衰えを痛感しているらしかった。

ミス・マープル長編第1作目の『牧師館の殺人』ではミス・マープルがイメージより若い!と感じていたけれど、今作あたりから“お婆ちゃん探偵”のイメージに近くなってきている。年齢や見た目だけでなく探偵としてもね。

 


助手のルーシー・アイルズバロウ

体力の衰えを痛感しているミス・マープルは自分で仮説の立証をするのは無理だと考え、捜査する人=助手を雇う。

捜査するための時間もあって知性もある人物として助手に選ばれたのがルーシー・アイルズバロウだった。

 

ルーシー・アイルズバロウ32歳。オックスフォード大学の数学科を出たすばらしい頭脳の持ち主。
立派な学者になるだろうと嘱望されていたが、立派な学者は報いが少ないと考えた彼女は家事労働の世界にはいる。
ルーシー・アイルズバロウはスーパー家政婦としてイギリス中に知れ渡るほど成功していて、あちこちから引っ張りだこに求められている。
彼女は長期の仕事はせず、短期間の仕事を個人的な好みで決める。めっちゃできる女性。
家政婦なので家事能力も人間関係もうまい。

しかも美人なので求婚されまくっていた。
ただ、家にいることを求められての求婚であるため、短期間住み込みで転々と家政婦をしていく仕事は結婚後は難しそうだ。
これだけのスーパーウーマンが結婚して家にこもるのはもったいない気もする。現代の価値観だけどね。


これからもスーパー家政婦兼ミス・マープルの助手をしてほしい!
絶対楽しい!

そんな期待もむなしく、ラストではルーシー・アイルズバロウは結婚することになりそうだという描写が……。
相手だれー!? 気になるしルーシーがそこまで心惹かれた男性いたかなと疑問だ。

 

 

おすすめの一冊!

 

THE古典的ミステリーな題材ながら古くささを感じない。翻訳が読みやすいのもあるだろう。
列車内で起きたはずの殺人は、死体が見つからずに事件にすらならない。捜査していくうちにいつの間にか莫大な遺産をめぐる一族のいざこざに巻き込まれたり、舞台は列車からどんどん離れていく。
早い段階でタイトルにある“列車”が関係なくなってきてると感じていたが、やはり推理の肝もすべてのはじまりも列車殺人にあったのだ。推理しながら読むタイプの私は「やられた~!」とちょっとの悔しさと思う存分ミステリーを楽しめた嬉しさでいっぱいになった。

軽く調べたかぎりでは『パディントン発4時50分』は「ミス・マープルシリーズの中で読むべき傑作選」としてあげている人が多かった。
そしてそれは評判の良さ正しかったのだと納得の面白さだった。


まとめ


ミス・マープルがイメージ通りの“ふわふわの毛糸をまとった可愛らしいおばあさん”で、現場捜査は助手に任せて情報を聞いて推理する。まさに安楽椅子探偵ミス・マープルだった。
古典的な題材のミステリーながら古くささを感じない面白さ。

ミス・マープルシリーズのなかでもぜひ読んでおくべき一冊!

 

 


以上、アガサ・クリスティーパディントン発4時50分』たまこの感想でした🐯