イヤミス注意!
子供が酷い目に合う話。とにかく残虐、エロ、グロ、鬼畜、凄惨な事件ばかりで読後感も最悪!
ある程度平気だという人もきっとショックを受けるストーリー。
苦手な人にはオススメできない。
『殺人依存症』
息子を六年前に亡くした捜査一課の浦杉は、その現実から逃れるように刑事の仕事にのめり込む。そんな折、連続殺人事件が勃発。捜査線上に、実行犯の男達を陰で操る一人の女の存在が浮かび上がる。彼女は一体何者なのか――。息をするように罪を重ねる女と、最愛の家族を失い死んだように生きる刑事。二人が対峙した時、衝撃の真実が明らかになる。
裏表紙より引用
全396ページ
胸糞が悪い
痴漢、誘拐、レイプ、殺人、ありとあらゆる弱者を狙った残酷で鬼畜な事件が一冊につめこまれている。
被害者となるのは必ず弱者で、加害者はゲーム感覚で被害者を人間としてみていない。
加害者もかつては弱者な立場にあったこともある。だからといって犯罪を犯すことは許されない。加害者には一切同情できない。
小説の中だけのフィクションの物語だとは思えない。まるで実際にあった事件かと錯覚してしまう。
こんなおぞましい事件が現実にも“ありそう”だと思えてしまうことが何より恐ろしい。
残酷、グロ、エロ、鬼畜が苦手な人は最初の20ページくらいで脱落するだろう。
私はわりとそういう描写は平気な方なのだが、それでも最初の部分で読むのをやめようかと悩んだくらいに初っぱなから胸糞が悪い。
最初から最後まで重い話で「これぞイヤミス!」 といった全体を通してずっと胸糞悪い小説。
でも嫌いじゃない。『虜囚の犬』もだが櫛木理宇の作品は凄惨な事件を読ませる力がある。
続編も有り得そうな終わり方に、これだけ胸糞悪いと思った作品にも関わらず続きを期待してしまった。
主人公も好きになれない
子供を狙った誘拐、性的暴行、殺人。目を覆いたくなる残酷な連続殺人事件が発生、荒川署捜査一課の浦杉刑事が事件を追う。
浦杉は6年前に息子を亡くしている。
ストーリーは闇を抱える浦杉目線、犯人目線、被害者目線がある。
ストーリー的には「全ての人にそれぞれの人生があり主人公なんだ!」と言いたいが、小説的には大部分が浦杉刑事目線なので浦杉が主人公といっても差し支えないだろう。
犯人が犯した残酷な事件、なぜ犯行に及んだのか、刑事による犯人の過去についての捜査でその人物像が明らかになる。
すべて読み終えてから私が思ったのは「これは犯人の物語」なのかもしれないということ。
殺さなきゃ、生きていけない。
過去からのがれるために罪を犯す女。
帯より引用
最悪の読後感
さすがイヤミス、読後感が最悪である。
私はハッピーエンド、勧善懲悪が好きなのでイヤミスはあまり手に取らないようにしてきた。『殺人依存症』というミステリーとして面白そうなタイトルと、以前読んだ櫛木理宇の作品『虜囚の犬』がそこまで受け付けないタイプのイヤミスではなかったことから油断した。
『殺人依存症』は救いのない話でただただ陰鬱な気持ちを引きずってしまう。
嫌な気持ちになってしまうが、きっと世の中にはこの小説のような酷い目に合っている弱者が存在するのだろう。そう思うとさらに落ち込む。これが作者のメッセージなのだろうか。
まとめ
とにかく残虐、エロ、グロ、鬼畜、凄惨な事件ばかりなイヤミスで読後感も最悪。
救いはなく絶望しかない。それなのに続編を期待している自分がいる。
すべての人にはオススメできない一冊。
以上、櫛木理宇『殺人依存症』 たまこの感想でした🐯