胸糞悪い犯罪と可愛らしい表紙のギャップに驚き
グロ注意作品!
『しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人』
女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。姿を見せないゲームマスターは「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが解放される」と言うが、ここにいるのは七人の男女。全員が「自分は潔白だ」と言い張るなか、一人また一人と殺害されてゆく。生きてここを出られるのは誰なのか? そしてゲームマスターの目的は?
ふたつの事件の交点が見えたとき、世界は反転する。
読者を挑発し続ける鬼才の超絶技巧ミステリ!
早坂吝 はやさかやぶさか
2023年5月30日発売
光文社
全271ページ
グロ注意作品!
身勝手な正義をふりかざし男は胸糞悪い犯罪に及ぶ。
この犯罪がかなり胸糞悪いのと生々しい描写でグロく感じるので苦手な人は最初の段階で読むのをやめてしまいそう。
そんな倒叙ミステリーで始まり、表紙の女性らしき人物が登場すると雰囲気が一気に変わる。
なんだかちぐはぐな印象を受けながらも読み進めるとその違和感の謎が解ける。
ネタバレしないで感想を書くのが非常に難しい!
最初の胸糞悪い事件部分があるのでグロ残酷理不尽が苦手な方は注意!
胸糞悪い犯人
最初の一家殺害事件は非常に胸糞悪い犯罪である。
独善的な犯行動機は暴力を正当化したい言い訳にしか聞こえない。無茶苦茶な理由をこじつけて“正義の執行”であると思い込もうとしているのか本当にそう信じているのか。
苦手だわー。残酷さやグロさもだけど犯罪者の餓田が犯行に及ぶ精神状態に至った生い立ちにリアリティがあり、本当にこういう犯罪者の思考はあるのかもしれない思わされてしまう。
環境のせいで恨みのある人に復讐してしまうのは同情の余地があるが、無関係な人を殺してる時点で環境のせいは言い訳にしかならない。
表紙とのギャップ
表紙の可愛いイラストで手にとったらとんでもない胸糞犯罪が行われてギャップがすごい!悪い意味で。
途中で表紙の女性と思しき人物が出てきてから内容がポップになってきて序盤の胸糞犯罪との落差に読み進めるテンポが狂う。
このギャップもすべて計算のうちだということは読了後にわかり、そこまでいけば面白い一冊だったとなれる。
ただわりとよくある展開でもあるので胸糞悪いイメージの方が強く残ってしまい前評判が高すぎて期待していたほど楽しめなかったかもしれない。
まとめ
胸糞悪い事件から始まる倒叙ミステリ。胸糞悪い犯罪と可愛らしい表紙のギャップに驚き。超絶技巧で読者を挑発し続け、計算された狡猾な一冊。
グロ注意。
以上、早坂吝『しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人』たまこの感想でしたฅ(´꒳ `ฅ)ꪆ