戦慄・驚愕必至の綾辻マジック──「囁き」シリーズ第3弾!
『黄昏の囁き』〈新装改訂版〉
あらすじ
兄の急死に不審を抱いた医学生・翔二は、元予備校講師・占部の協力を得て事件の真相を追う。
「ね、遊んでよ」……謎の言葉とともに残忍な犯行を重ねる殺人者の正体は?
翔二の心に封印されてきた幼い日の記憶の、恐るべき真実とは?
「館」シリーズと並ぶ人気シリーズの第三弾、新装改訂版でここに。
裏表紙より引用
旧版解説 円堂都司昭
新装改訂版解説 織守きょうや
2021年8月12日発行
(1993年発表)
全403ページ
爽やかな読後感
囁きシリーズ三作目も例に漏れず主人公は“過去からの囁き”を体験する。
医大生の翔二は兄がマンションから転落死したため帰省する。その頃から幼い頃の記憶が断片的に思い出す。
この記憶は兄の死に関係あるのか。兄が自分に対してどこか怯えたように接していたのはなぜだったのか。
分からないことだらけの記憶は不安と恐怖を掻き立てる。
また、サーカス団の存在も怖い雰囲気を醸し出していたかもしれない。(これは私がサーカスやピエロを怖い存在と認識しているかもだが)
しかし、今までの『囁きシリーズ』に比べるとホラー、サイコサスペンス感がほとんどない!
爽やかな終わり方も怖さが少ない理由だろう。
シリーズ過去作では不穏さが残り登場人物たちのその後に闇を感じさせていたが、『黄昏の囁き』は良い意味で登場人物たちのその後が気になる終わり方だった。
怖さのない普通のミステリー小説としてとても楽しめるけれども、囁きシリーズとしてホラー感を期待していたため、全体的にさらっとした印象でとても爽やかな読後感であった。
シリーズ4作目を期待!
囁きシリーズは現在3作品のみ。3作目の黄昏の囁きが発表されたのが1993年なので3部作でシリーズは終わりなのだと思っていたのだが、『黄昏の囁き〈新装改訂版〉』あとがきで作者は囁きシリーズをもう一作書こうと思っていると記していた。
この一文を読んだとき嬉しすぎて心のなかで小躍りしちゃった!
綾辻先生にはいつも一文に驚かされてるな。
4作目の題名は『空白の囁き』(仮)らしい。
ぜひぜひぜひぜひ刊行してもらいたい。
4作目だけでなく5作6作と期待しております。
まとめ
いままでの囁きシリーズとは違い、ホラーサイコサスペンス要素はほぼない定番ミステリー作品。そのため怖さを敬遠して囁きシリーズを読んでいなかった人にも読みやすそう。
囁きシリーズ幻の4作目『空白の囁き』が待ち切れない!
以上、綾辻行人『黄昏の囁き』〈新装改訂版〉たまこの感想でした😸