このミステリーがすごい!2022年版/国内編 4位!
シリーズ累計100万部突破! !
『屍人荘の殺人』シリーズ第3弾!
『兇人邸の殺人』
あらすじ
“廃墟テーマパーク”にそびえる「兇人邸」。班目機関の研究資料を探し求めるグループとともに、深夜その奇怪な屋敷に侵入した葉村譲と剣崎比留子を待ち構えていたのは、無慈悲な首斬り殺人鬼だった。
逃げ惑う狂乱の一夜が明け、同行者が次々と首のない死体となって発見されるなか、比留子が行方不明に。さまざまな思惑やわ抱えた生存者たちは、この迷路のような屋敷からだっしの道を選べない。さらに、別の殺人者がいる可能性が浮上し……。
葉村は比留子を見つけ出し、ともに謎を解いて生き延びることができるのか?!
『屍人荘の殺人』の衝撃を凌駕するシリーズ第三弾。
カバー袖より引用
今村昌弘
2021年7月30日発行
全360ページ
いろいろ忘れてるシリーズ3作目
“生ける廃墟”として有名な馬越ドリームシティの主は班目機関の研究者だった不木玄助。
その情報を掴んだ成島IMSの社長成島陶次は、事件を引き寄せる体質の剣崎比留子に協力を求めてきた。
厄介な体質には周期があり、そろそろ事件に遭遇することを懸念していた比留子は自らこの怪しげな取引に応じた。
そして助手役を担いたい葉村譲ももちろんついていくことに。
そうして乗り込んだ先が遊園地!
廃遊園地風な寂れ方が売りの“現役”遊園地ドリームシティ。その園内の兇人邸に暮らす不木を強襲しようとするのだ。
まさか主人公サイドが強襲する悪役ムーブなのかぁと思ったのも束の間、現実とは思えない恐怖体験が待っていた……。
早い段階から事件に向かっていくスピーディーさが緊迫感を煽る。
『兇人邸の殺人』はシリーズ3作目なのだが、『屍人荘の殺人』『魔眼の匣の殺人』を読んでから時間が経っていたため班目機関とのアレコレを忘れてしまっていた。まあ忘れてても問題なく楽しめた。忘れてなかったらもっと楽しめたかもしれないけど。
あと剣崎比留子の話し方も「そういえばこんな話し方だったなぁ」と。比留子さんなぜか私の中で印象に薄くてどんなキャラだったか忘れがち。
そして読了後に「お前だれやねんっ!?」と内心叫んだのは私だけじゃないはず。
思わず心の中の関西人が飛び出してきちゃった。
この最後の人物については調べたあとも思い出せないくらい忘れてた。
班目機関メモ
戦後に岡山の資産家であった班目栄龍が設立した組織。
表向きは薬品研究、真の目的は倫理的、道徳的な枷に囚われない研究の推進。
極秘扱いの組織。
1985年に解体され研究資料は公安に差し押さえられた。
しかしごく一部の資料は密かに持ち出された……。
オカルト×ミステリーが面白い!
サクサク展開で序盤から兇人邸に乗り込み、すぐにホラーな雰囲気になる。
兇人邸の前身は監獄をモチーフにしたアトラクション施設だった。そのためとても複雑な構造をしている。
暗くて陰鬱とした雰囲気の建物は読者を一気に今村ワールドに引き込んでしまう。
文章読んでるだけで監獄お化け屋敷に入ったようなおそろしさ。
そして現れる〇〇!!
タイトルでちょっと予想ついてたけど班目機関が絡むとオカルト系の存在が受け入れやすい。設定勝ち。
『屍人荘の殺人』ではゾンビ、『魔眼の匣の殺人』では予言と、オカルト×ミステリーが本当にうまい!
特殊設定ミステリーはたくさんあれど、屍人荘シリーズのオカルト×ミステリーを超えるものはないんじゃないかと思うくらいに好き。
好みが分かれそうだなとは思うが、特殊な設定は違和感なくミステリーに落とし込まれていて毎回感心する。
またクローズドサークルの作り方も秀逸である。
脱出の手段はあっても、それを使うことで状況がより悪化する可能性がある。
「これは私たち自身が留まることを選ばざるを得ないクローズドサークル」
シリーズで一番怖かった
逃げられない閉じられた館で遭遇した到底太刀打ちできない存在……これまでのシリーズの中で一番怖かった。寝る前に読んだら夢に出てきたくらい。
不謹慎なのは承知の上だが次々と人が死んでいくのも身が竦む恐怖が際立ってよかった。
ばんばん死んでいくから主人公たちも安全ではないかも?とハラハラしたよ。
恐怖の中で殺人も起こるのに犯人への悪感情は少なく、ラストあたりは涙が流れちゃうほど入り込んでいた。
まとめ
ジャンルはオカルトホラーパニックサスペンスミステリーで決まり!
シリーズ一作目の『屍人荘の殺人』で特技設定部分に賛否両論あったのは知っている。
その時は合わない人もいるだろうなと客観視していたけれど『兇人邸の殺人』があまりにも面白かったから、このシリーズ読んだほうがいいよ!と声を大にしてオススメします!
以上、今村昌弘『兇人邸の殺人』 たまこの感想でした😸