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東野圭吾『回廊亭殺人事件』新装版-誰もが見抜ける叙述トリックは嘘!

 

 

 

 

『回廊亭殺人事件』新装版

一ケ原高顕が亡くなった。妻子のない高顕の莫大な遺産を巡り、一族が「回廊亭」に集まった。「回廊亭」は、半年前に心中事件が起こり火事が発生したいわくつきの旅館だ。誰もが高顕の遺産を狙うなか、そこには相続関係にない菊代という老婆の姿が。彼女の目的は、心中事件の真相を明らかにすること、そして――真犯人を殺すことだった。
事件に隠された衝撃の事実とは⁉

裏表紙より引用


東野圭吾
光文社
2020年10月20日 新装版
(1991年7月)

全333ページ

 


誰でも見抜ける叙述トリック


「誰でも見抜ける叙述トリックです。ストーリーをお楽しみください」──著者より
帯の謳い文句

見抜けんわ!
叙述トリックということは帯を見て分かっていたため、じっくり細かいところまで疑って読んだ。裏を読みすぎて「これ人間じゃなくて犬の話か?」という明後日の方向にまで思考を飛ばしたりもした。もちろん犬の話ではなかったけども。
そしてまんまと叙述トリックにはまってしまって悔しい。
ずっと何となくの違和感があるのだけど、あとちょっとの所が気付けない。
「誰でも見抜ける」は無理だが、確かにこの叙述トリックを見抜ける人はいるかもしれない。たぶん。


女の復讐劇

犯人目線で進む物語。
桐生枝梨子と恋人は何者かに襲われ、恋人は死亡、主人公の桐生も大火傷の重症を負う。
運よく助かった命で復讐を誓い、自分たちを襲った人間が誰なのかを探り始める。

すごい執念。殺す以外にも復讐方法はありそうなのに人生賭けてまでの復讐をする?とも思えるが、それは今まで殺されそうになったことのない読者の平和ボケした感想だ。

この主人公の激しい復讐心は一度殺されかけた人間なら当然なのかもしれない。
女の激しい憎悪、怨恨、愛憎が凝縮された人生を賭けた復讐劇は、いじましさと狂気を感じる何とも言えない読後感だった。

 

まさかの実写化!?

『回廊亭殺人事件』はドラマ実写化がされていた。
トリック的にもビジュアル的にも絶対に実写化なんて不可能だと思うのだけど……。

ビジュアル面で不可能だと思ったのは、主人公である30代女性の桐生は70歳の老婆に変装して成りすましていることだ。
小説だからまぁまぁ許容できる設定だけど、実際に30代女性が70歳のフリをするは無理がある。
特殊メイクで顔は似せられても、声、首、手、生命エネルギー(?)は誤魔化せないと思うのですよ。

ただ主演が常盤貴子さんなのでドラマ版もちょっと見てみたい。

 

まとめ

「誰もが見抜ける叙述トリック」ではないが、頑張れば叙述トリックを見抜いて推理できそうなお話。
犯人の激しい復讐心にはせつない気持ちと達成感とが入り交じる何とも言えない読後感を引きずる。
常盤貴子さん主演でドラマ実写化されているのでそちらも見てみたい!

 

以上、東野圭吾『回廊亭殺人事件』たまこの感想でした🐯