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斜線堂有紀『楽園とは探偵の不在なり』-館クローズドサークル×特殊設定ミステリー

2020年ミステリランキング続々ランクイン
このミステリーがすごい!2021年版
宝島社国内編
第6位

2021本格ミステリ・ベスト10
原書房国内ランキング
第4位

2020年週刊文春
ミステリーベスト10
国内部門
第3位

ミステリが読みたい!
2021年版
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帯より引用

 

 

 

 

 

『楽園とは探偵の不在なり』


二人以上殺した者は“天使”によって即座に地獄に引き摺り込まれるようになった世界。細々と探偵業を営む青岸焦は「天国が存在するか知りたくないか」という大富豪・常木王凱に誘われ、天使が集まる常世島を訪れる。そこで青岸を待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった。かつて無慈悲な喪失を経験した青岸は、過去にとらわれつつ調査を始めるが、そんな彼を嘲笑うかのように事件は続く。犯人はなぜ、そしてどのように地獄に堕ちずに殺人を続けているのか。最注目の新鋭による、孤島×館の本格ミステリ

カバーそでより引用


斜線堂 有紀
早川書房
2020年8月25日発行

全315ページ

 

天使がいる世界

五年前、世界に“天使”が降臨した。
“天使”は二人以上殺した者を即座に地獄に引き摺り込む。
グロテスクな見た目で天使とは言い難い“それ”を見た者は本能で“天使”だと認識する。
この本能的な感覚は“天使”が天国からの神の遣いだからにちがいないと、人々が天国を信じるようになった。

二人以上殺したら天使から直接罰せられるというルールは世界に平和をもたらすだろうと考えた。

しかし、平和は訪れなかった。

 

天使のルールは「一人を殺しても地獄には墜ちないが、二人を殺せば地獄行き」ということだけ。ルールがざっくりしすぎていて世界は混乱する。

「今の人類は誰しも一度だけ殺人の権利がある」と考える人が増えてしまう。
また、どうせ地獄に堕とされるならより多くの人を巻き込んで死のうとする事件も多発する。


天使とは一体なんなのか。
本当に神の遣いなのだろうか。
地獄があるならば天国も存在するのだろか。

実際に“天使降臨”したことで、漠然とした存在の天国がより人間の身近に感じられる一方で謎は深まるばかりだ。


この設定のみでも楽しめる。“天使”とは正義とはを考えさせられる、まるで哲学。

“天使”の特殊設定がミステリーにもうまく絡んでいて、動機についても天使がいる世界だからこその闇と苦悩があり面白かった。

続編期待したいが、この設定のミステリーは今作でやりきった感がある。ミステリー以外でもいいからこの世界の話を読みたいと思った。


クローズドサークル

天国にとりつかれた大富豪・常木王凱から天使が住む島「常世島」に招待された人たち。迎えの船は四日後。
もう殺人事件を起こしてくれといわんばかりの状況、孤島の館ものクローズドサークル
しかも“天使”が二人以上殺した者を地獄に堕とす世界観で。
『屍人荘の殺人』のようなクローズドサークル×特殊設定ミステリー。

これは『屍人荘の殺人』でもそうだったように、好みがわかれるミステリーだと思う。
私は『屍人荘の殺人』のクローズドサークル×特殊設定ミステリーが好きだったので、『楽園とは探偵の不在なり』も面白く読めた。
天使がいる特殊世界設定についての語り部分が多く、殺人事件ミステリーとしてはちょっと物足りないかもしれない。

 


名探偵・青岸焦


名探偵・青岸焦はやる気は微妙に感じられないけれど、探偵としての勘は優れている。
人望もありクセの強い優秀な部下たちに恵まれ探偵として活躍していた。
その生活に終わりがきたのは五年前の“天使降臨”だった。天使の存在により探偵業は活躍の場がなくなった。
二人以上殺した者は天使が地獄に堕としてしまうので探偵や警察は犯人を追うことが出来なくなった。


青岸探偵事務所のメンバーは、自分たちは「正義の味方」であり正義のために働く。それを生き甲斐にしていた。
天使がいる世界での「正義観」を強調させるためなのかもしれないが、天使のいない現実世界に生きる読者目線だと「正義の味方だから!」という言葉は子供っぽく軽さを感じる。
もっと私が世界観に入り込んでいれば「正義の味方」連呼に違和感はなかったかもしれない。
天使がいる世界だから、“正義”と“悪”にやたら拘っているのかな。

ミステリーとしても面白いが、ミステリーよりも天使世界と青岸焦の物語という印象が強かった。

“天使は一人殺すことを赦している”


まとめ

孤島クローズドサークル×特殊設定ミステリー!
天使降臨の“特殊設定”をうまく活用したミステリーで面白かった。天使がいる世界観の話をもっと読みたい、続編希望な作品。
『屍人荘の殺人』のような特殊設定ミステリーなので好みはわかれそうである。

 


以上、斜線堂有紀『楽園とは探偵の不在なり』たまこの感想でした🐯