たまこのとられこblog

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斜線堂有紀『廃遊園地の殺人』感想-映像化向きなミステリー

 

 

2021年最注目の俊英による廃墟×本格ミステリ

新世代の旗手が紡ぐ今年度の大本命!待望の本格ミステリ長編!

 


廃遊園地の殺人

 

 

 

『廃遊園地の殺人』

 

あらすじ

 

プレオープン中に起きた銃乱射事件のため閉園に追い込まれたテーマパーク・イリュジオンランド。廃墟コレクターの資産家・十嶋庵はかつての夢の国を二十年ぶりに解き放つ。狭き門をくぐり抜け、廃遊園地へと招かれた廃墟マニアのコンビニ店員・眞上永太郎を待っていたのは、『このイリュジオンランドは、宝を見つけたものに譲る』という十嶋からの伝言だった。それぞれに因縁を抱えた招待客たちは宝探しをはじめるが、翌朝串刺しになった血まみれの着ぐるみが見つかる。止まらない殺人、見つからない犯人、最後に真実を見つけ出すのは……

 

帯より引用

 

斜線堂有紀

 

実業之日本社

 

2021年9月25日発行

 

全356ページ

 

振り回される系名探偵

 

名探偵といえばマイペースに周りを振り回しイラッとさせるような変わり者というイメージが強い。

しかし、『廃遊園地の殺人』の名探偵役・眞上永太郎は“振り回される系名探偵”だ。

 

 

廃墟マニアで人付き合いが少々苦手なコンビニ勤務の27歳。高身長ながら周囲から舐められているフシがあり、彼もまた頼まれごとをされると断れない。

廃墟が好きすぎて一人だけ用意されたコテージではなく廃遊園地内で寝袋で寝るこだわりの強さを持ちつつ、なんだかんだ流されてしまう小心者感は親しみやすい。

主人公の眞上が親しみやすいというより他の登場人物たちが自分勝手すぎるというのもあるけど。

 

「コンビニにはいろんな客がいるから……」と、コンビニ店員として得た知識から推理しているのも面白かった。

 

 

眞上にも重い過去があり続編出そうな終わり方だったので、ぜひシリーズ化してほしい。

 

 

 

 

廃遊園地クローズドサークル

 

プレオープンで銃乱射事件が発生し、開園することなく廃園になったイリュジオンランド。

20年の時を経て、イリュジオンランドの現在の持ち主である大富豪・十嶋庵が廃遊園地を一般公開する。厳選された招待客はイリュジオンランド関係者やランド建設地となった天衝村の関係者。彼らは十嶋庵からだされた‘宝探し’に躍起なる。

廃遊園地という恐怖心煽る場所と因縁ある人々。そしてセンセーショナルな銃乱射事件の闇。

 

クローズドサークルも物理的なものと精神的なものの両方で閉じ込められ、事件に置かれた人間の異常さが濃く表れていてよかった。

 

これは設定から面白いやつ!との期待を裏切らない面白さだった。

 

 

ただ、物足りない!

廃遊園地の薄気味悪さや殺人事件が起きた恐怖、名探偵の推理場面もすべてがあっさり終わってしまった。

上下巻の長編でもっともっと怖さあふれるミステリーにしてほしかった!廃遊園地だしホラー的な怖さも醸し出せそう。そのポテンシャルがあったのに、良くも悪くも淡々と進み過ぎていて物足りなさを感じてしまった。

 

 

映像化向き

 

淡々と進むのは読むのにはストレスフリーで良かった点でもあるが、物足りなさも感じていた。

だからこそこの作品は映像化したらより面白さが増すと思う!

廃遊園地をビジュアル化すれば遊園地の空間の広さも実感することができ、廃墟特有の生きていない建物の薄気味悪さも伝わりやすくなる。

なんなら廃遊園地をただ歩いて調査するだけでも楽しそうである。ホラー的な意味で。

 

しかし、廃遊園地の立地も事件に大きく関わるためドラマ映画の実写は難しい。そもそも廃遊園地の撮影場所を探すのは無理。

 

というわけでここは“アニメ化”でホラーサスペンスミステリー長編アニメ希望します!

 

どこかにこの思い届け〜〜〜

 

 

 

まとめ

 

廃遊園地クローズドサークルミステリー!

探偵役も親しみやすくて設定から面白い。文章の読みやすさにページを捲る手がとまらないが、さくさく進みすぎてあっさりめに感じた。廃遊園地という舞台的にも映像化向きなミステリー。ぜひ続編でてほしい!

 

 

以上、斜線堂有紀『廃遊園地の殺人』たまこの感想でした🐯