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賀十つばさ『バニラな毎日』感想−ほっこりものお菓子連作短編集

 

美味しそうな表紙に一目惚れ!

 


バニラな毎日 (幻冬舎文庫)

 

『バニラな毎日』

閉店が決まった洋菓子店で、なぜか店主と常連客のマダムがお菓子教室を始めることに。生徒はあなた一人だけ。参加条件は悩みがあること。一歩踏み出す勇気が持てない会社員にはタルトタタン、過保護で心配性な母親にはイートン・メス、失恋ばかりして落ち込む男性にはザッハトルテ……。あなたの悩みを解決する、美味しい人生のレシピ教えます。

裏表紙より引用

 

賀十つばさ

令和5年4月10日

幻冬舎

全219ページ

ほっこり連作短編集

 

主人公は閉店が決まった洋菓子店店主の白井さん。

職人気質な白井さんは腕は確かだったが立地の悪さから客足が悪く店を畳む決意をする。

店閉めたあとは洋菓子チェーン店でアルバイトを始めたりと出だしから実際にありそうな重い話に読み切れるか自信がなかった。

ほっこりものと思って読み始めたんだけど違ったかな……という思いも杞憂だった。

 

お店の常連だった料理研究家佐渡谷さんからの提案でお菓子作り教室を始め、悩める人と一緒にお菓子作りをしていくうちに白井さんも自分自身と向き合えるようになっていく。最初の嫌な現実から夢ある終わりへと上手くまとまっており、まさしくほっこりもの連作短編集だった。

 

 

白井&佐渡谷コンビ

 

他人に対する興味の薄いさっぱりしたタイプのパティシエ白井さんと人見知りしないマイペースで行動力のある料理研究家佐渡谷さん。

正反対でちぐはぐな二人がなかなかいいコンビだった。

最初はお菓子教室を開こうとする佐渡谷さんに不信感を持っていた白井さんも、佐渡谷さんのペースにのまれるうちに積極的に“客”のためのお菓子作りをするようになっていく。“お客が喜ぶお菓子作り”ができなかったためパティスリーを閉店することになった白井さんの大きな変化だった。

 

白井さんの心情の変化に不自然さはなく、人と関わることは面倒でも自分の成長に繋がるのだなと思えた。

大人になってから年齢も離れた友人ができるのって素敵だなと思う。 

 

 

美味しそうなお菓子

 

このお菓子教室で作るお菓子はお客さんが作りたいものをリクエストする。

これがまた難しいものを作りたいとリクエストしてくる。何故そのリクエストなのか。どこかの憧れのお菓子なのか?ということも考えてパティシエ白井さんはお菓子作りをお手伝いする。

なかでも白井さんレシピのモンブランが食べてみたい!!

巻末にパウンドケーキのレシピが掲載されていたのでいつか作ってみようと思う。

 

 

まとめ

 

大人になってから築く友情、年齢の離れた友人関係が素敵だった。

物語を通して誰にでも起こり得る悩みの向き合い方を学べた気がした。

ほっこりものお菓子連作短編集。

 

 

以上、賀十つばさ『バニラな毎日』たまこの感想でしたฅ(´꒳ `ฅ)