けっこうグロい描写あるので注意!
「その森には何かがいる」
戦慄のバイオ・ホラー
『ヨモツイクサ』
「黄泉の森には絶対に入ってはならない」
人なのか、ヒグマなのか、禁域の森には未知なる生物がいる。
究極の遺伝子を持ち、生命を喰い尽くすその名は──ヨモツイクサ。
北海道旭川に《黄泉の森》と呼ばれ、アイヌの人々が怖れてきた禁域があった。
その禁域を大手ホテル会社が開発しようとするのだが、作業員が行方不明になってしまう。
現場には《何か》に蹂躙された痕跡だけが残されてた。
そして、作業員は死ぬ前に神秘的な蒼い光を見たという。
地元の道央大病院に勤める外科医・佐原茜の実家は黄泉の森のそばにあり、
7年前に家族が忽然と消える神隠し事件に遭っていて、今も家族を捜していた。
この2つの事件は繋がっているのか。もしかして、ヨモツイクサの仕業なのか……。
本屋大賞ノミネート『ムゲンのi』『硝子の塔の殺人』を超える衝撃
医療ミステリーのトップランナーが初めて挑むバイオ・ホラー!
Amazonより引用
2023年5月20日発売
全368ページ
バイオホラー
帯で“戦慄のバイオホラー”と銘打っているので何かしらの細菌やウイルス系が人類に襲いかかるのかなと予想をしていた。
読み始めるとバイオホラー発覚まで時間がかかり、凶暴性の高い羆退治に奮闘するシーンが大部分を占めている。
バイオホラーという前提知識があるからきっとこの羆も操られてるか病で凶悪化したかと察してはいたが、羆被害のグロテスクさや格闘シーンの生々しさが一番怖かった。
そのせいかバイオなホラー感よりアニマルパニックホラー的な要素が大きいなと思った。
ちょっとSF的でもある。
全体的に面白かったけど前半のグロホラー的な感じが好みだった。後半はスペンスホラーな感じでホラーとしてはあまり怖く感じなかったかな。
この辺は好みに分かれそう。
どんでん?
知念実希人先生のミステリー作品『硝子の塔の殺人』がそれはもうどんでん返しがすごかった!
その期待もあってバイオホラーの真相にもものすごーいどんでん返しがあるのかもと思ってしまった。
そう、期待しすぎてしまった。
薄々と結末が読めてしまったのが残念だった。
こんなわかりきった結末なわけないからどんなどんでん返しがあるのだろうとワクワクしたどんでん返し脳な私が悪いのだけど。
もっと素直に読んでいればさらに楽しめただろうなと思う。
謎は残る(ネタバレあり感想)
主人公の佐原茜は7年前に家族が神隠しにあっていた。行方不明の家族の手がかりをずっと追い求めていた。
彼女はその手がかりが黄泉の森にあるのだと信じて地元では誰も立ち入らない禁域へと踏み入る勇気があった
勇気はあるけど主人公の行動には「なんでそんなことするの!?」と思うようなことばかりで正直かなりイライラさせられた。
女医で頭もよく体力もあり羆狩りに参加できるほどの狩猟経験もある。そんな彼女の不可解な行動原理も理由があったのだけど。
いくらなんでも家族以外に薄情すぎない?と思ったよね。
黄泉の森の伝説、昔話のおそらく明治時代あたりの「ハル」のころからイザナミは存在し、主人公の時代まで世代交代はなかったのだろうか?
というか寿命もないのだろうか?
ヨモツイクサたちは神道的に“神”と崇められただけのUMA(未確認動物)なのな、本当に“神”に連なる存在なのか。
茜が自分の代でイザナミの連鎖を止めるべきだったかもしれない。人間の茜の精神よりもイザナミの本能が勝ってしまったのか……。
進化成功により狭い範囲で生きてきたヨモツイクサたちは爆発的に生息域を広げきっとこの世界は彼等に支配されてしまうだろう。
まとめ
バイオホラーよりアニマルパニックホラー的な怖さが勝ったホラー作品。生々しいグロ描写には注意が必要!
好みに分かれる“ホラー”作品だと思う。
以上、知念実希人『ヨモツイクサ』たまこの感想でしたฅ(´꒳ `ฅ)ꪆ