エルキュール・ポアロ シリーズ長編6作目
『邪悪の家』
あらすじ
名探偵ポアロは保養地のホテルで、若き美女ニックと出会った。近くに建つエンド・ハウスの所有者である彼女は、最近三回も命の危険にさらされたとポアロに語る。まさにその会話の最中、一発の銃弾が……ニックを守るべく屋敷に赴いたポアロだが、五里霧中のまま、ついにある夜惨劇は起きてしまった。
新訳決定版
裏表紙より引用
訳 真崎義博
解説 石崎幸二
2011年1月15日発行
(発表 1932年)
全361ページ
引退したいポアロ
「探偵業は引退したから」と、イギリス内務大臣の依頼を断ろうとするポアロ。
探偵業に復帰させたいヘイスティングス。
確かにポアロは探偵引退したのだけども、まさか今後もこのやりとりを挟むのが定番になるのだろうか?
引退したいとは言うポアロもいざ事件らしきことが起こるとついつい首を突っ込んでしまう。
やはり根っからの探偵だなと思わされるうまい流れだった。
内務大臣の依頼を断る理由が「若者にチャンスを与えよう」というのもポアロらしいちょっとプライド高さが出てて好き。
苦戦するポアロ
ひょんなことから出会った美女は三度も命を狙われていた。彼女を救うべくポアロとヘイスティングスは犯人探しをする。
今回の事件はポアロが珍しく苦戦していた。
というのもなかなか事件が起きない!!
犯罪が起きてから犯人を突き止めるなどということはいとも簡単なことなんだ!
犯人は罪を犯すことで自分のサインを残すようなものだからね。
ところが、いまは犯罪そのものがないんだ。
起きる前に犯罪を見つける─これは困難極まりないことなんだ。
Byポアロ
ポアロとヘイスティングスが目を光らせていたにも関わらず殺人事件が発生。
事件が起きなきゃ探偵は仕事がないとはいえポアロが後手に回ってしまってる印象で苦戦しているなと。
過去三回あった殺害未遂について調べたりはしているものの事件が起こるまでが長くてちょっと読んでてダレてしまう。
しかし、後半はどんどん読み進められる怒涛の畳み掛けてくるのでちょっと耐えてほしい。
A〜Jの容疑者!
今回の事件は殺人事件が起こったあとですらフーダニットもハウダニットもホワイダニットも全てが謎!
そのせいで容疑者が多い多い。
しかしポアロが順序立てて考えをまとめているので読んでいてこちらも理解がしやすい。
そのなかでも容疑者A.容疑者B.容疑者C…….容疑者Jと、一人ずつ考査するところはわかりやすい〜!と嬉しく思って読んでいた。
うん。自分の単純さを突きつけられた事件だった(笑)
衝撃の〇〇
事件発生まではダレてしまったものの後半から怒涛の展開がはじまる。
誰が、どうやって、なぜ、事件を起こしたのか。
全てがよくわからなかった事件で一番衝撃的だった真相が“動機”だった。
前半から少しずつ違和感を抱いてはいた。
でもそれがこんな衝撃的な展開に繋がるとは!
おそらく事件もトリックも動機も現代でやろうとしても無理だろう。この時代ならではな事件で面白かった。
まとめ
珍しく苦戦するポアロ。
殺人事件が起こったあとですらフーダニットもハウダニットもホワイダニットも全てが謎!
現代では出来ないこの時代ならではな事件で面白かった。
以上、アガサ・クリスティー『邪悪の家』たまこの感想でしたฅ(´꒳ `ฅ)ꪆ