このミステリーがすごい!2022年版/国内編 9位!
帯が期待値あげていくー!
当作の完成度は、一斉を風靡したわが「新本格」時代のクライマックスであり、フィナー
レを感じさせる。今後このフィールドから、これを超える作が現れることはないだろう。
ああびっくりした、としか云いようがない。
これは僕の、多分に特権的な驚きでもあって、
そのぶん戸惑いも禁じえないのだが──。
ともあれ皆様、怪しい「館」にはご用心!
『硝子の塔の殺人』
あらすじ
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、
圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。
著者初の本格ミステリ長編、大本命!
2021年8月10日発行
全501ページ
ドンデンドンデンどんでん返し
プロローグは罪を暴かれたあとの犯人の回想から始まる“倒叙ミステリ”。
『古畑任三郎』や『刑事コロンボ』のような犯人目線で物語が進む。
長野県北アルプス南部の蝶ケ岳中腹に建つ円錐状の建物。この事件の舞台となる硝子館にいかにもミステリー小説に登場するような癖のある人物たちが集まり、館の主が重大発表をするのを待っていた。
このいかにも “ミステリーだったら殺人事件が起こる絶好なロケーション” な設定に、コテコテの王道ミステリーを期待してニマニマ読み進め最後には「まんまと嵌められた!」と心の内で大絶叫してしまった。
ミステリマニアが集まりミステリーを語り、ミステリーを好む読者のツボを抑えつつ、それらすべてが緻密に計算されたどんでん返しの伏線だったとは……。
あまりここでネタバレするのもあれなので少しでも気になったミステリー好きは絶対読むべきとオススメしておく。
もうすでにネタバレしてるのではないかと疑問に思った方! 大丈夫! この程度では裏表紙のあらすじの域を超えていないから。
絶対に驚くラストを楽しめますから!
ミステリー好きに刺さる
占い師の敏感さ、刑事の横暴さ、名探偵の狂ったようなミステリマニアぶりなどなど。
登場人物たちの個性的すぎる性格にイラッとさせられたりもするが、その性格もちゃんと理由がありストーリーに繫がっているとわかってくる。
奇抜な塔、集められた個性的な面々、これがミステリー小説なら何か起きそう。やっぱ起きるよね〜。
その期待を裏切らない展開とミステリーマニア達のミステリー談義やミステリー作品オマージュ!
ミステリー好きにはとくに刺さる作品となっている。
ミステリーマニアには遠く及ばないわたし程度のミステリー好き読者でもついていける面白さ。
しかしミステリーをほとんど知らない人が読むと少し置いてけぼり感を味わうかもしれない。
続編期待なラスト!
続きそうなラストにシリーズ化を期待している。
ただラストの展開については私はどちらかというと否定的に考えている。
いままでにない斬新さと怒涛の展開から考えるとなんとなく陳腐な終わりだと感じた。
この事件には理不尽さもあった。いい話風の爽やかな終わり方ではなくバチバチの不穏さ残るラストで続編に繋がってほしかった。
これは個人的な希望であり少数派かもしれないし、この作品は間違いなく面白かった。ただこのラストの点については感想として記しておきたかったのだ。
「あ〜結局最後はそうなるのね〜……」 byたまこの感想
まとめ
THE定番な名探偵&館ミステリー!
一歩間違えばバカミスともとれる怒涛のどんでん返しはなんとも斬新でおもしろい!
ありとあらゆるミステリー要素にミステリー好きにはたまらない一気読み推奨な一冊!
以上、知念実希人『硝子の塔の殺人』たまこの感想でした😸