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有栖川有栖『孤島パズル』感想-アリスとマリアと孤島クローズドサークル

 

「学生アリスシリーズ」二作目!

前作「月光ゲーム」を読んでいなくても話はわかる◎

 


孤島パズル 江神シリーズ (創元推理文庫)

 

『孤島パズル』

あらすじ

海の海に浮かぶ嘉敷島に十三名の男女が集まった。英都大学推理研の江神部長とアリス、そしてマリアも島での夏休みに期待を膨らませる。折悪しく台風が接近し全員が待機していた夜、風雨に紛れるように事件は起こった。滞在客の二人がライフルで撃たれ、無惨にこときれていたのだ。無線機が破壊され連絡船もあと三日間は来ない絶海の孤島で、新たな犠牲者が……。犯人はこの中に!?

裏表紙より引用


学生アリスシリーズ二作目

有栖川有栖

解説 光原百合

東京創元社

1996年8月30日
(1989年)

全402ページ

 

マリア

アリスの同級生で英都大学推理小説研究会の新メンバーとなった有馬麻里亜。
新キャラ登場でしかも女子!
アリスとマリア、読みにくいことこのうえない。そこだけちょっと不満だけれども、マリアはいいキャラでした。
特に好きなのがアリスとマリアの関係性!

アリスとマリアは本当にただの友達。
当人同士はそう思っているのは十分わかっているが、大人からすると2人の関係性は良い距離感で青春の香りがして羨ましい。
安易に恋愛恋愛しないであくまで友人としての青春の語らいシーンが好きだ。きっとアリスたちが年をとってから甘酸っぱい青春の一ページとして思い出すだろう。

しかし、せっかく美人でモテるらしいマリアが登場したのにアリスはまた恋愛方面に報われてないのが不憫である。


孤島クローズドサークル

今回は南の島でクローズドサークル
英都大学推理小説研究会の新メンバー有馬麻里亜の祖父は大のパズル好きだった。クロスワード、数理パズル、迷路、ジグソーパズル……好きが高じて自分でつくったパズルに遺産のダイヤモンドを隠してしまうほど。
有馬氏の死後、遺言状と一緒にでてきた宝の地図はいまも解かれていないまま。
マリアは夏休みに推理小説研究メンバーを宝の隠し場所の孤島に招待する。

江神、アリス、マリアは孤島で“モアイパズル”の謎を解くゲーム感覚だったが、孤島で殺人事件が起こってしまう。


1989年に発表された小説、作中も同じ年代だろう。携帯電話もなく連絡船も数日後まで来ない孤島。クローズドサークルのために存在するかの舞台で殺人が起こらないわけがない!


解決編のまえに【読者への挑戦】が作者から叩きつけられ、自分なりに謎解きするが、「この人が犯人かな~?」と直感はあれど根拠は示せない。

遺産のパズルの謎解き、殺人事件の謎解き、2つの謎解きで倍楽しい。

 

切ない終わり

「江神さんさえ何も語らなければ、何も起こらないではないか」このアリスの考えは最もである。
しかし江神の推理すら突っぱねられない犯人が警察の捜査に耐えられるとは思えないという、江神の考えもわかる。
遅かれ早かれこの結末になったのだろうか。江神がこっそり警察に説明して保護させることは出来なかったのだろうか。
切なさが尾を引く終わり方でした。

 

まとめ

新登場の有馬麻里亜からもたらされた孤島でのパズル解きから殺人事件が発生。
アリスとマリアのほどよい青春に心がにやにやしちゃう。
パズルと事件の謎解きで二度おいしい作品!

 

以上、有栖川有栖『孤島パズル』たまこの感想でした😸