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太田忠司『和菓子迷宮をぐるぐると』-和菓子職人を目指す理系男子の青春物語!

 

 

和菓子職人を目指す涼太が製菓専門学校で友人たちと切磋琢磨する青春物語!
小学生から読めそうな若者向けなストーリー

 

 

 

 

 

『和菓子迷宮をぐるぐると』


ランチの煮魚を食べながら、その作り方を科学的に検証してしまうほどの理系大学生・涼太。ちょっと変わり者と言われる彼が出会ったのは、あまりに美しい「和菓子」だった。その「美味しさ」にも魅せられてしまい、すっかり和菓子の世界の虜に。勢いのあまり大学院に進まずに和菓子職人になることを決意し、製菓専門学校に入学してしまった。
個性豊かな学生たちとともに和菓子作りに精を出すが、和菓子はとにかく答えがない。なんとか自分の和菓子を作ろうと苦心するも、全てを1か0かで考えてしまう理系的思考が、数値だけでは測りにくい和菓子作りの邪魔をして──。

帯より引用

太田忠司

ポプラ社

2021年2月15日発行

全311ページ

 

理系男子、和菓子職人を目指す!

主人公は物理工学専攻で大学院進学が決まっている河合涼太。
涼太は大学の食堂の微妙な味の違いに気付いたりと味覚が人より鋭いらしい。彼はとにかく理屈っぽい男で、機関銃のように理系全開な例え話をする。よくある理系のイメージをすべて詰め込んでる。
そんな理系男子がデパートの催事で運命の和菓子に出会い人生が変わる。

涼太は大学院進学が決まっていたにも関わらず、和菓子職人になるため製菓専門学校に通うことにしたのだ。

今までにない感動と和菓子への激情、その気持ちのまま損得関係なく突っ走れる若さが眩しい。
人生を捧げたいと思えるほどの職業を見つけられたことって実はなかなかないと思う。応援したくなる。

 

通い始めたタジマモリ製菓専門学校では、製菓専門なため女子が多めである。実習グループの5人のなかで男子は涼太ひとりであったざ、すぐに仲良しグループとなる。
理屈っぽい変わった人と思われていても、愚直な菓子への姿勢と年上でも偉ぶらない涼太は好意的にみられていた。
グループメンバーたちと将来に悩み相談し助け合うそんなほっこり青春物語である。

これから将来を考える若者向けなストーリー。

 

理系は和菓子に向いてる?

和菓子職人を目指すことにした理系男子の涼太。保護者は理解ある人たちで大学院進学を諦め製菓専門学校に通うことも応援してくれている。

涼太も保護者も触れていなかったけれど、私は理系の理屈っぽい変わり者な涼太が果たして和菓子職人に向いているのだろうかという不安に思った。

職人は経験と勘とセンスで作り上げるイメージがあったからだ。
パン職人はその日の気温と湿度で生地の捏ねや寝かせをかえていると聞く。
涼太は理系らしくなにに対しても、なぜ、どうしてこうなるのか、正解とは、これらを求めがちである。

「この和菓子ほ対数美的曲線ですね?」

和菓子を数式で表現する涼太。
正解のない和菓子作りに挫折しないだろうか?そんな心配をしていたのだが、涼太の保護者の修は「涼太には菓子作りの才能がある、菓子作りは科学だもん」と言っていて驚いた。
その後の説明で、確かに菓子作りは科学かもしれないと気付かされた。

和菓子も洋菓子も見た目は芸術なのでやはり苦労はあるかもしれない。けれども理系らしく何回もくじけず“研究”できる涼太はやはりお菓子作りに向いているのだろうと読了後には思えた。

 

「和菓子迷宮をぐるぐると」は青春物語!

『和菓子迷宮をぐるぐると』のタイトルと装丁の美しさに目を惹かれた。
以前読んだ太田忠司の『遺品博物館』が軽く読めるミステリーで面白かったため、あらすじも確認せず読み始めた。

「迷宮ぐるぐる」の響きに、和菓子を通して日常の謎を解決するポップなミステリーを想像していたのだけど、読んでみたらほっこり青春物語だった。
では「迷宮ぐるぐる」とは何なのか。
それは読んでいたらすぐ分かった。というかそれに気付いたらなぜミステリーと勘違いしたのかとちょっと恥ずかしくなる。

読む前にあらすじを見るの大事。面白かったから良かったんだけどね。
ミステリー脳になってたから次はミステリー読もうと思う。

 


まとめ


理屈っぽい涼太と製菓専門学校の友人たちが、ひたむきにお菓子作りに取り組むほっこり青春物語。
将来の夢に真っ直ぐ向かう人もいれば何をしたいか分からない人もいる。悩み励みお菓子職人を目指す若者たちがまぶしくて応援したくなる。

小学生から読めそうな若者向けな小説。

 

以上、太田忠司『和菓子迷宮をぐるぐると』 たまこの感想でした🐯