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青柳碧人『霊視刑事夕雨子2 雨空の鎮魂歌』-息の合ってきた女性バディ!因縁の事件についても進展か

 


シリーズ第2弾!

霊が“見える”刑事の大崎夕雨子と警視庁から異動してきた訳あり刑事の野島友梨香。

未練を晴らす手伝いをさせられたり、ほろりとさせられたり、一筋縄ではいかない個性的な幽霊たち。

中野署捜査一課の女性バディが幽霊の証言と鋭い観察眼で事件を解決していく!

 

 

 

 


『霊視刑事夕雨子2 雨空の鎮魂歌』


彷徨う霊の声を聴く夕雨子と、姉御肌な破天荒刑事野島。素直に真相を語らない霊と、時には協力、時には反発しながら、中野署の名物コンビは霊視と推理で難事件に挑む。ある日、野島が左遷されるきっかけとなった因縁の事件の関係者が行方不明となり。
驚きと癒しが共存するヒーリング刑事シリーズ第2弾!

裏表紙より引用

シリーズ2作目
雨空の鎮魂歌(レクイエム)

青柳碧人

講談社

2021年2月16日発行

全307ページ

 

第一話『アリガトウという言葉』

日本語学校「稲下日本語アカデミー」の校長が殺害された。容疑者として浮かび上がったのは校長と揉めていたという元講師の女性。
霊が見える夕雨子は、殺害現場で被害者の幽霊に殺人犯が誰かを尋ねるが、彼は黙りこんでしまう。すると元アカデミー生徒であるタイ人の幽霊が犯行を目撃したと夕雨子に訴えかけてきた──。

 

幽霊も素直で正直者の善人というわけではない。人間なのだ。生きていた頃と同じように幽霊も嘘をつく。
夕雨子と野島は、嘘か真かわからない幽霊の証言を参考に犯罪の裏側を暴く。
もちろん現実の捜査もそれなりにしている。
捜査の過程で夕雨子の警察学校同期、三田村剛と久しぶりに再会する。三田村は夕雨子のことを気に入ってるらしく、2人の関係の進展は今後の楽しみである。警察官同士の恋って難しそうどけどね。
この事件で三田村も夕雨子の能力に気づいただろう。彼は大丈夫だとしても、夕雨子の力について警察内部に知れ渡るのはまずいような気もする。役立つ能力とはいえ警察的には受け入れられるのだろうか。


第二話『涙目さよなリーヌ』

ギャグ少女漫画家タピ岡まじょれが階段で転落死した。捜査の結果、事件性はなく事故死だった。遺族に連絡するも家族仲が悪かったらしく夕雨子は心を痛める。
遺品整理の業者がタピ岡の部屋の片付けをすると、ピアニスト宅から盗まれた絵画が発見された──。


亡くなったタピ岡さんの家族関係が可哀想であり、そのわりに逞しさと図々しさを持つ彼女が好き。
今話では、夕雨子が警察官になった理由である『榛葉山女子小学生失踪事件』の捜査資料をついに入手した。その資料を持ってきたのが警察学校同期の三田村くん。警察学校時代に夕雨子から聞いた話を忘れていなかったのだ。ちょっと無理して資料もってきてくれるなんて彼はいい奴です。


第三話『俺の名は。』

深夜勤務の夕雨子と野島。
刺激ある事件を求める野島とそれを諌める夕雨子は署長から呼び出しを受ける。
午前2時過ぎに署長からの呼び出し。それも「女の二人組を呼んでくれ。必ず、エレベーターを使ってくるように」という内線だった。
不審に思う夕雨子、本庁に呼び戻す人事の話かもしれないと期待する野島。
ふたりがエレベーターに乗るとエレベーターが停止し、男性の幽霊が現れ「野島が俺の名前を思い出すまでエレベーターを動かさない」と脅してきた──。

 


野島が幽霊の名前を思い出すため過去を語る。刑事とはいえ野島が今までにたくさんの人を失ってきたのだなと知る。
野島が夕雨子にも語りたくない2つの事件『青山女子大生殺人事件』『アマチュアバンド殺人事件』についても語る。
夕雨子の『榛葉山女子小学生失踪事件』についても触れていてシリーズとして面白くなってきた。

幽霊は死んだときのままの格好であらわれ、人間よりも早く動き壁抜けもできることが分かった。夕雨子は“見える”ため当たり前に知っていたことでも野島は初めて知る。

 

第四話『ハチミツの雨は流してくれない』


野島が本庁から中野署に異動するきっかけとなった『アマチュアバンド殺人事件』の殺害されたボーカリスト小西の恋人だった鳥山愛奈が行方不明になる。
関わるなと釘をさされる野島だったが、中野署こ管轄でアマチュアバンド殺人事件で唯一生き残っているドラマーの天地豪がコンビニで立て籠り事件を起こした。
この2つの事件には関連があると確信した野島は、立て籠り事件の現場へ駆けつける──。

 

というわけでアマチュアバンド殺人事件が意外とあっさり解決してしまった。
捜査的にはあっさりではないが、小説的には引っ張らずに終わってしまいびっくり。
途中で捜査協力してくれたネイルサロンオーナーの女性のキャラクターがいい。捜査協力って経験したことないけど非日常感にワクワクしそうだ。実際は面倒だろうけども。
同じく捜査協力してくれた幽霊のクウタもかっこよかった。夕雨子を助けてくれる霊として仲間になってもよさそうだったけどやはり成仏するのが自然なのだろう。
夕雨子が幽霊で子供?だけどクウタに惹かれるのもわかる。頑張れ三田村。
そしてまさかまさかの展開で驚きの結末! 野島は悪くないと思うのけども、彼女の語りたくない過去がまた増えてしまった。

エピローグでは、とある幽霊が夕雨子と野島に会いに来る。恨んではないと言っていたが本当かどうか。睨み付けていたのに?
幽霊も嘘をつくのだ。

 

まとめ

野島の因縁の事件『アマチュアバンド殺人事件』が解決し、夕雨子の警察官となるきっかけとなった『榛葉山女子小学生失踪事件』の資料も入手した。
今作でシリーズの肝となる事件が一気に進展した。
「もしかして最終回が近い?」と不安になる。せっかく面白くなってきたからシリーズ長く続いてほしい!

 

以上、青柳碧人『霊視刑事夕雨子2 雨空の鎮魂歌』たまこの感想でした🐯