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東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』感想-後味悪めな短編集

 

加賀恭一郎シリーズ6作目

 

「嘘を隠すには、もっと大きな嘘が必要になる


嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

 

 

『嘘をもうひとつだけ』

 

人間の悲哀を描く新しい形のミステリー。

 

裏表紙より引用

加賀恭一郎シリーズ6作目

東野圭吾

 

講談社

 

2003年2月15日発行

(2000年4月単行本として刊行)

 

全269ページ

 

5編からなる短編集

 

短編集なのでサクサク読めるのがいい。

「嘘を隠すには、もっと大きな嘘が必要になる」それをわかってはいても殺人犯は嘘をつかざるを得ないのだ。

 

 

嘘をもうひとつだけ

 

5日前、弓削バレエ団で働く早川弘子が自室のバルコニーから転落死した。

同じマンションに住む弓削バレエ団の事務局長・寺西美千代は警察に何度も話を聞かれてうんざりしていた。公演本番の日にも加賀刑事がやって来て──。

 

 

表題作だが印象薄め。短編より長編向きな話かもしれない。犯人の心境や殺人に至るまでについてもっと詳しく読みたい。

 

 

冷たい灼熱

 

暑い夏の日、田沼洋次は帰宅すると家の様子がいつもと違うことに気がついた。玄関を開けると室内は暗く、妻の三枝子と一歳になる息子の裕太の姿がなかった。

家の中を探すと部屋が荒らされ三枝子が殺されていた。そして息子の裕太はどこにもいなかった──。

 

殺人に至っても仕方ないのかもとうっかり同情して納得しかけてしまうが、最も狂気を感じた悲しくて恐ろしい話。

 

 

第二の希望

 

シングルマザーの楠木真智子は娘の理砂と二人暮らしをしていた。ある日、真智子が仕事から帰宅すると家の中が荒らされ男が死んでいた。駆け付けた警察が部屋を調べる中、真智子は死体の第一発見者として加賀刑事から事情を聞かれることになり──。

 

 

どこをどう間違えてしまったのか。違う未来があったのではないかとやりきれない思いで後味が悪め。

 

 

狂った計算

 

一週間前に交通事故で夫を亡くした奈央子。彼女のもとに加賀刑事が聞き込みやってきた。その理由は夫の交通事故の件ではなく、奈央子の住む家を担当した建築士が行方不明になっていたからだった──。

 

ちょっと時代を感じる話。

加賀刑事は“夫が妻を愛してた説”を推していたが、いまなら支配したいだけの典型的なモラハラDV夫と認定されると思う。

主人公はいろいろな面で可哀想な人だと思う。

 

 

友の助言

 

萩原は友人との待ち合わせに向かう途中で自動車事故を起こして重傷を負ってしまった。

入院中の萩原のお見舞いに来た加賀刑事。萩原の‘待ち合わせ相手の友人’というのが加賀だったのだ。加賀は萩原が事故を起こすなんてありえないと言い張り、事故原因を独自に調べていた──。

 

加賀が刑事ではなく友人として登場。でも独自調査したり萩原に質問する様は刑事そのもの。

加賀の優しさも感じるが、友人のその後が気になる。腹立たしい話。

 

 

まとめ

 

5篇からなる短編集。

長編だと思って読み始めたから短編集だと気づいたときは驚いた。

サクサク読めて面白い。特に『冷たい灼熱』がお気に入り。

どれも哀しい読後感でちょっと引きずる。

 

 

 

以上、東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』たまこの感想でした🐯