加賀恭一郎シリーズ第5弾!
加賀恭一郎シリーズ第3作目『どちらかが彼女を殺した』と同じく、全てを明らかにしない終わり方!
自分で推理する派の人なら「推理の手引き(袋綴じ解説)」を読めば犯人がわかるかも?
『私が彼を殺した』
婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。男は自分との関わりを隠そうとする。醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。事件の鍵は女が残した毒入りカプセルの数とその行方。加賀刑事が探りあてた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。
裏表紙より引用
加賀恭一郎シリーズ第5作目
東野圭吾
2002年
(1999年2月に刊行されたもの)
全448ページ
3人の容疑者
物語は3人の人物の視点で語られていく。その3人こそが容疑者だ
殺された新郎に対し、それぞれが殺害動機も殺害チャンスもある。
加賀恭一郎シリーズは容疑者視点で語られるとどうしても犯人を応援したくなってしまう。加賀刑事が出てくると邪魔された気分になってしまうのだ。主人公なのに。
それくらい心理描写がうまいということなのだろう。そしてまんまと作者に誘導されていることになるのだ。
この話は『どちらかが彼女を殺した』と同じく、自分で推理しながら読むと面白い作品である。
袋綴じ解説
推理の手引きとして袋綴じ解説がついている。
加賀恭一郎シリーズ第3作目『どちらかが彼女を殺した』にもあった推理の手引き(袋綴じ解説)。
小説を最後まで読んでも犯人は明言されない。袋綴じ解説に犯人を推理するヒントが出され、それをもとに読者が推理するしかない。
全てを明らかにしないミステリーは、自分で推理しながら読むタイプの人なら犯人も分かるはず。
(私は袋綴じ解説読んで犯人わかったよ! 嬉しい)
読みながら推理しないタイプの人にはハマらないミステリーかもしれない。
新婦・神林美和子
結婚式の最中に殺された穂高誠。容疑者が3人もいるくらいにろくでもない男だ。
そんな穂高と結婚するには神林美和子は純粋で繊細すぎるように感じられた。
美和子は今をときめく詩人で感性が独特なのかもしれない、担当編集はそう考えていた。それにしても何とも言えない違和感がある。いいこちゃん過ぎるのだ。
感性が独特なのではなく感情が希薄なのではないかとすら思える。
殺人事件よりも神林美和子という人物の得体の知れなさがストーリーに不気味さを付加していた。